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両手にしゃもじを持ったらば

5次槍弓、腐女子向け小説サークル「両手にしゃもじ」です。意味がわからない方はお戻りくださいませ。 主にオフライン情報や通販のお知らせや日々のつぶやきです。

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動物化、オオカミネタです。
先日ぼんやりしていてぼんやり妄想したやつ。アホなやつ。
とにかく弓はサーヴァントだろうが守護者だろうがオオカミだろうがペンギンだろうが〇〇だろうが何だろうが可愛くて本人無自覚のままモテモテなんだよっつう私のどうかしてる脳内がピンク色に妄想する産物。
もうサーヴァントだろうが守護者だろうがオオカミだろうが何だっていいんだよ槍弓で弓が幸せなら文句は言わねえっつう懐の広すぎる方のみ、「続きを読む」からどうぞ。

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大きな鹿を仕留めて、雄叫びが辺りに轟く。
その中心にいるのはまだ年若いアルファだ。つい先日、前のアルファからその地位を奪い取った逞しいオオカミ。
彼とは幼い頃から一緒に遊んで育った。私の母オオカミと彼の母オオカミは親しかったらしく、私と一腹の兄弟と、彼の兄弟とはいつも一緒に育てられた。
けれど成長するにつれ、彼はめきめきとその頭角を現し、力強い若オオカミへと育っていった。私はさしたる力もなく、この薄汚れたような灰色じみた白っぽい毛色も相まって、寄ってくる雄も雌もいない。やがては連れ合いが欲しいと思ってはいるが、同じ年のオオカミが群れのアルファとして君臨する様を見ては、どうしても差を感じずにはいられない。
こうして群れが獲物を捕らえても、私の食事の順番は最後尾とまではいかなくともかなり後のほうだ。上位のオオカミたちの食事がすむのを空腹を抱えて大人しく待っていると、聞きなれた声がした。
「よう」
食事の順番待ちをしていたオオカミたちが退いて、のっそりとやってきたのはそのアルファだった。幼い頃から共にじゃれ合い遊んだそのオオカミは、青く輝く見事な毛並を月の光に晒して、堂々たる体躯で私の前に立っている。
私は数歩下がって頭を垂れ、上位のオオカミに対する礼儀を示した。彼は何が気にくわなかったものか鼻を鳴らしたが、足元に置いていたらしき肉の塊をくわえ上げる。
「どうした、もう食事は終わったのかクー。他の者も腹を減らしている、それならそうと言ってやらないと」
彼が通るため道があいた先には、立派な雄鹿が倒れている。もちろん真っ先に食すのはアルファであるクーなのだが、他のオオカミたちは彼の許しがないのでまだ食事にありつけていないようだ。
ここしばらく獲物が獲れていなくて皆空腹だ。食事の途中に遊ぶような余裕があるわけもなく、これはどうしたことかと私は首を傾げ、それでもアルファである幼馴染みにあえて進言した。
本当ならこの時点で下位たる私は無礼をいさめられるべきである。つい昔のクセで小言を言ってしまってから、私はしまったと首をすくめて身を屈めた。今にも首に彼の牙が食い込み、地面に押さえつけられるのではと畏怖したが、彼の牙は私の身に突き立てられることはなかった。
それどころか、頭上から大仰なため息が聞こえる。
「…?」
恐る恐る顔を上げてみると、珍しい真紅の瞳をすがめたクーが大きな肉をくわえたまま私を見下ろしていた。
「クー?」
「…ほらよ」
制裁を加えるどころか、彼はその肉の塊を私の目の前にぽとりと落とした。
「え」
「食えよ。…やる」
「………」
言われて肉に目を落とせば、それは立派な骨にたっぷりと肉がついた、実に美味そうな部位だった。食事が始まってすぐ、彼はいい所を選んでちぎり取り、ここへ持ってきたのだ。
訳がわからなくて目を白黒させていると、クーは少しばかり恥ずかしそうに目を伏せて、それ食えよ、と言い置いて食事に戻っていった。
幼馴染みの私に気を遣ってくれたのだろうか。
オオカミの社会でそんなことはあり得ないが、他に思い当たる節もなくて、私はしばらく肉の塊を見ていたが、きゅるると鳴り続ける腹に負けてはむはむと食べ始めた。私より上位のオオカミたちはそれを見て涎を垂らしながらも、一頭として私から肉を取り上げようとはしない。アルファたるオオカミが分け与えた肉を奪い取ろうものなら、アルファの面子を潰すことになるからだ。
年頃の雄オオカミが、自らが食するより早く餌を分け与えるという行動が何を示すものかなんて、私はさっぱりと失念していたのだった。

「美味かったか?エミヤ?」
いつもは自信たっぷりな態度を崩さないクーが、ちょっとおどおどしながら私に聞いてくる。
一体どうしたのだ、私などにそんな態度をとって。というか君、どうして肉を先に分けてくれたのだ。そんなに飢え死にしそうに見えていたろうか。
「ああ、とても美味かった。ご馳走さま、クー。でも順番は守らなければ、他の者に示しがつかないぞ」
「…ああ」
「君はまだアルファになってから日が浅いのだから、そういうところはきちんとしなければ。こんな下位の者などにこうしてなれなれしくしていては、馬鹿にされるのではないか」
君はまだ若いのだし、誰が狙っているかわからないのだし…と続けると、クーは真紅の瞳をすがめてそんなことはさせねえ、と唸った。
「…まあ…しかし、腹がすいていたのは確かだから、本当に美味かった。あんないい肉を…ありがとう」
本来ならば私の順位では、皆の食べ残しに近い部位を骨からそぎ落とすようにして食べるものだ。美味い部位などとっくになく、少しでも肉を多く胃に納めることだけ考えて、どこでも構わず出来るだけ多く、早く飲み込む。
あんなに美味い部位をゆっくり食べることが出来たのは初めてといってよかった。
礼はしなければなるまいな。
私はクーに顔を近づけて、伺いを立てるようにそのすんなりと長く伸びた鼻づらをぺろり、と舐めた。驚いたように真紅の瞳が見開かれ、それから嬉しそうにすぼまる。
差し出された顔を丁寧に舐めて毛づくろいしてやると、クーはお返しといって私の毛を舐めはじめた。
「わっ私はいいから」
「なんで。舐めさせろよ」
「こんな薄汚い毛皮など、君は舐めなくていい」
「何言ってんだ。お前がてめえの毛皮いつも綺麗にしてんの知ってんだよ。ちっせえ時からそうだったじゃんか。オレにもいつも綺麗にしてろってうるさくて…だからオレ、今でもそれ守ってちゃんと手入れしてんのに」
「そっそうだったのか…しかし君は群れのリーダーなのだから、綺麗にしているのはいいことだと思うぞ。まだ連れのいない雌たちも君を羨望の眼差しで見ているし…そ、そうだ、そろそろ身を固めたほうがいいのではないか。誰か、これと定めた相手はいるのかね」
それを聞くのは胸が痛んだが、話の流れ上つい口が滑ってしまった。
憧れの、美しい青いオオカミ。君は私の誇りだよ。
つい先だってまで一緒にじゃれあって、君は私だけのものだったのに、今はこんなに違ってしまった。すぐに君は群れ一番の美しい娘を連れ合いに得て、来年の春には可愛い子供を授かるのだろうな。
一緒に育ったこんな下位の、薄汚い毛皮のオオカミのことなど綺麗に忘れて。
クーはのそり、と身を起こすと私の首筋をふんふん、と嗅いで、そこをぱくりとくわえ込んだ。
「!なっなにをするクー、離せ」
そのまま地面に頭を押しつけられて、私は焦った。
力の塊のような存在に、背後から首を噛まれて押さえられている。本能的な恐怖に足を踏ん張り、私はもがいた。
「いやだ、クー。わたしを…殺す気なのか?」
語尾はかすれて震えてしまい、実に情けなかった。涙が勝手に溢れてきて視界がかすむ。やはりこんなみすぼらしいオオカミが幼馴染みだというのは、君の汚点だったのだな。優しい君のことだ、いい肉を分け与えてくれたのは殺す前にせめて美味いものでもやろうという心遣いだったのだろう。
それならそうと、ちゃんと言ってくれたらよかったのに。そうしたら私は、こんなみっともない姿をさらすこともなく、大人しく君にこの首を差し出したのに。
でも、他ならぬ君のためならば。食いぶちを一つ減らせば、その分楽にもなるだろうし。
そう覚悟を決めた私にかけられたクーの言葉は、己が耳を疑うものだった。
「オレと連れ添ってくれ、エミヤ」
「… は?」
「オレの生涯の連れ合いとなってくれ。お前しか考えられない。欲しいのはお前だけなんだ、エミヤ」
「わ、わたし、は」
「なあ、給餌も毛繕いもしてきた。周りの雄どもに牽制もしてきた。匂いづけだって」
「あ、あれ、は」
幼い頃からしてきた、じゃれ合いの延長だと思っていたのに。
「昔からずっと、お前だけが好きだった。だから匂いづけしてずっと、お前はオレのモンなんだって周りに示してきた。だから誰もお前に近づかなかったろう。近づく雄は全て半殺しにしてきたからな」
「きっ…み、まさか」
そんな昔からずっと牽制してきた?そんな馬鹿な。
「だって、こんな毛並で」
「綺麗だ」
即答するクーは紅い瞳をうっとりと潤ませて、私のからだを見る。
「グレーがかった白で…まるで銀色だ。雪が太陽に照らされて輝いてるみたいだ」
「そ」
そんなふうに、君には見えていたのか。
「そんな毛並は他にはいない。お前だけが特別なんだ。お前だけが、オレの特別」
「君の青い毛皮のほうが、ずっと特別ではないか」
ついそうつぶやくと、紅い瞳が私をひたりと見据えてきた。その瞳は情熱的で、込められた熱で更に赤々と燃え上がっているように見えた。
「本当に?オレを特別だと思うのかエミヤ」
「そ、れは…そうだろう。君はこの群れのアルファだ。その毛色だって、他にはいない君だけがもつものだ。君は…特別だ」
「お前にとって?」
「………」
緊張で鼻が乾いて息苦しい。私は困り果て、耳をぺたりと後ろに引いて数歩下がった。逃がすまじとクーが迫ってくる。他のオオカミたちは私たちを遠巻きにして、素知らぬ振りを決め込んでいるが、聞き耳をたてているのがありありと伝わってきて私は赤面した。
群れのアルファの番いが決まるかどうかの瀬戸際なのだから、皆がこちらを意識しているのは当然だった。
恥ずかしくてならず、じりじりと後退する。
「エミヤ」
力強い雄の迫力に負けて、私は耳を寝かせたまま腰を落とし、ついに地面に伏せってしまった。すかさずクーがマウントしてきて、しかしからだを押しつけることはせずただ、背後から口元を舐めてきた。
「なあ、オレが特別だっていうんなら、オレの連れ合いになってくれエミヤ」
「きみ、なら、もっと…ナンバー2の雌だっているだろう。君の誘いを断る雌なんていない。私は」
「お前がいいんだ、エミヤ。お前が、好きなんだ。なあ、オレの仔を産んで」
「っ…」
クーの舌が、口元からじっとりと喉へと降りてくる。長い冬毛をかき分けるように彼の鼻づらが喉元をくすぐり、耳をかすめてうなじへ到達する。
「なあ…」
熱っぽく求愛を囁きながら、クーは私のうなじを鼻づらでしきりにかき分け、軽く牙で甘噛みしてきた。
「や」
「エミヤ、なあ、お前が好きなんだ。ずっとお前だけって決めてきたんだ。お前のために強くなった。お前を手に入れるために、トップに立った。誰にも文句は言わせねえ。エミヤ、オレのエミヤ、オレだけのものだ…一生」
一生。
胸の内にじわりと生まれた熱は、まるで心臓と瞳が連動していたかのように目頭にも伝わって、凍った地面にぱたり、と水滴が落ちた。
「エミヤ」
驚いたクーが覗き込んでくる。やめてくれ、恥ずかしいから。
「どうしたんだ。どこか痛いのか。腹が減ったのなら、獲物を獲ってきてやろう」
「ちがう、クー。これは…違うんだ」
あたふたするアルファは間抜けなことに舌を出したままどうしたらいいかとおろおろしていたが、やがて私の瞳をそっとその舌先で拭ってくれた。
「お前の瞳…ほんとに、綺麗だ。凍りかけの湖に光が当たった時みてえに。ほんとに…」
青いふさふさした毛がすり寄せられてきて、温かな彼の体温がそっと被さってきた。私を驚かせないように気遣っているのが感じ取れて、私の胸にまた新しい熱が満ちる。
この申し出を、受け取っても許されるだろうか。
オオカミは生涯、定めた連れ合いを変えない。ここで私が彼の求愛を受け入れたら、彼はもう誰とも番うことはない。
彼を一生…私に縛り付けることになる。
それは抗いがたい魅力に満ちて、私ははふ、と熱い息を吐き出した。
「返事をくれ、エミヤ」
群れで最も強い雄が、頭を下げ全身をすり寄せて懇願している。
雌たちの羨望の眼差しを一身に受けながら、私は青い獣を振り返る。
この心はとうの昔に決まっていたのだと、もう気づいてしまったのだから。
「クー、わたし、は」
答えなど、ひとつしかないのだ。
そうして獣の厳かな誓いがひとつ交わされて、一組の番いが生まれたのだった。
来年の春にはきっと、青と白のちいさな命が誕生することだろう。


「というか雄同士で子供は出来ないというのだ。昼間うたた寝をしたら、サーヴァントだというのにこんな夢を見てしまった私は疲れているのだな。それか余程寝苦しかったとみえる」
「いやお前にだったら孕ませられそうな気がするオレ。ていうか孕ませてえ」
「三枚におろして今晩のおかずにするぞランサー。それとも乱切りにしてスープの出汁がいいかね」
「どっちもヤダ、でもお前のメシは食いたいです」
「それでは買い物に付き合いたまえ、これから出かけるので」
「あっデート?誘ってくれんの嬉しいな」
「たわけ荷物持ちに決まっておろうがたわけ」
「はいはい」
「ウキウキ出かけてったわよあの二人」
「何だかんだ言って、アーチャーも機嫌よかったな…」
「夢って願望だとかも言うわよね」
「未来の自分が、強い雄に求愛されるのが願望だとかイヤだよオレ…」
「いいじゃない結果幸せになるんなら。私はかまわないわ、アーチャーが幸せならランサーの子供を産んでも」
「オレはイヤだ――――想像するのもイヤだ―――!!ていうかガチムチの男同士で子供はできないから、そこからだから!!」
「懐が小さいわねえ士郎は。もっとおおらかになりなさいよ」
ほほほ、と笑う凛が小さな瓶を握り締めていることに気づかなかった士郎は幸せだったのだろう。
その瓶の中身は…遠坂家の秘術は計り知れないのだった。
そして丈夫な実験台は身近にいるのである。南無。
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潮香
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女性
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腐妄想
自己紹介:
5次赤弓さんにはあはあする成人女子。ツイッターはコチラ
もっぱら脳内で繰り広げられる妄想に耐え切れず、時々文章にして垂れ流している。
最近ではマーベル映画と今さらながらにジョ〇ョの承太郎さんにもハマっている。どうしてこう高身長でムキムキで低音ボイスの男ばかりなのか。

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