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両手にしゃもじを持ったらば

5次槍弓、腐女子向け小説サークル「両手にしゃもじ」です。意味がわからない方はお戻りくださいませ。 主にオフライン情報や通販のお知らせや日々のつぶやきです。

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 以前書きなぐったSS、香りものとキャスターさんに翻弄されるアーチャーさんが好きなのです。
 短くてもよろしければ続きをどうぞ。

拍手[28回]




 ふあ、と漂う甘やかな香り。
「あらお香?いいにおい」
「そうでしょう?こうして焚きこめると家具にも香りが移って、いつもふんわり漂うのよ」
「あんまり香り物って使わないから…そうなんだあ」
「姉さんも使ってみたらどうですか?似合うと思います」
「そうかしら…そういや桜、あんたからは時々花みたいな香りがする時あるわねえ」
「私は…匂い袋をかばんやポケットに入れてたりするんです」
「へえ、女の子らしくていいわね」
「そんな…」
 えへ、と照れる桜は贔屓目なしに可愛い。凛は笑って、じゃあ私もたまにはいいかなあ、なんて考えていた。
 この日衛宮邸を訪れたのは珍しくもキャスター。なんでも昨日大量に寺に差し入れされた生ものの処分に困って持ちこんできたというわけだ。
「ほんのお礼よ」
 彼女がそう言って小さな香立てにさした線香のようなものからは、火をつけると煙と共にいい香りが立ち上った。
 そこにいた凛、桜、セイバーはその香りを珍しそうに嗅いで興味を示し、ライダーはこくりと首を傾げてこういうものですか、と感想を述べたが満更でもなさそうだった。
 そんな女性陣から離れて一人お茶を淹れる士郎は、人工的な匂いってあんまり好きじゃないなあ、夕飯までには消えるだろうかとか心配していた。
 玄関からただいま、と低い美声が響いて、夕飯の買い物に出かけていたアーチャーの帰宅を知らせる。
 士郎はお帰り、と返しながら荷物を受け取りに行って、士郎に荷物を半分渡したアーチャーがリビングに顔を出した。
「おやキャスター、珍しいな…て、なんだこの匂い」
「あら、お帰りなさいアーチャー。お裾分けに来たのよ。これはほんのお土産」
「お帰りアーチャー」
「お帰りなさいアーチャーさん、お疲れ様です」
「お帰りなさい」
 口々にそう言われてああ、と返すアーチャーの表情は和いでいる。リビングとキッチンを隔てるカウンターに食材の入ったエコバッグを置いた彼は、キャスターを振り返った。
「今日は君のマスターは遅くなるのかね?よかったらたまには一緒に夕飯でもどうだ」
「そうねえ、どうしようかしら」
 愛らしい仕草で口元に手を当て考える素振りを見せるキャスターに、マスターの分も作るから呼んだらどうかね、とアーチャーが言う。
「少し多めに買い込んでしまったか、ら… ?」
「アーチャー?」
 言葉を不自然に切って語尾を上げた己がサーヴァントに、鋭敏に反応した凛が声をかけた。
 アーチャーはふらりと目線を彷徨わせ、リビングのテーブルの上で煙を上げる香に目を留める。
「キャスター、それ、は」
「お香よ?お土産だと言ったでしょう。…あら…貴方には効くのかしら」
「効く?」
 なにそれ、と凛が眼差しをきつくする。キャスターは柔らかな表情を崩すことなく、くすくすと笑った。
「ちょっと特別製なの。ガイアの英霊には効かないみたいで残念だと思ったけれど…アラヤの守護者たる貴方には効くみたいね」
「な、にを」
「少しだけ、お薬をね」
「薬…だと?サーヴァントに薬など効くわけ、が」
 歩こうとして、アーチャーは足をもつれさせ壁にぶつかった。それでも踏み出そうとした足ががくんと膝から崩れ、畳に座りこんでしまう。
「アーチャー!ちょっと、キャスター!」
 凛があわてて立ち上がり、桜が香を消す。それでも部屋にたちこめた香りは消えることはなく、アーチャーははあっ、と苦しそうに息をついてうずくまった。
「もう立てないでしょう?アーチャー」
「…っ…」
「こちらへいらっしゃいな。ねえ、アーチャー?」
「こ、んなことで…私を縛れると、思うな」
「まあ、可愛いこと。じゃあ試してみましょうか。ねえ、貴方の真名を教えて?」
「!」
「だめ!アーチャー!やめてキャスター、本気で怒るわよ!」
「私も怒っちゃいます」
「そうですキャスター。悪ふざけはやめてください」
「残念ねえ…可愛いのに。でもそれだけの反応ってことは、この中には貴方の想い人はいないみたいね、アーチャー?」
「…え」
「ただいま、っと…なんだこの匂い。くせえ」
 入ってきたランサーがあからさまに顔を顰める。ランサーを見上げたアーチャーが、小さな声を上げた。
「あ」
「あら」
 目ざとくキャスターが笑う。
「そう、彼だったの」





 何気なく書いたSS、私はキャスターさんをどれだけ万能だと思っているのか。つうか魔術をいったい何だと思っているのか。
 続きそうもないのでup。
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潮香
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腐妄想
自己紹介:
5次赤弓さんにはあはあする成人女子。ツイッターはコチラ
もっぱら脳内で繰り広げられる妄想に耐え切れず、時々文章にして垂れ流している。
最近ではマーベル映画と今さらながらにジョ〇ョの承太郎さんにもハマっている。どうしてこう高身長でムキムキで低音ボイスの男ばかりなのか。

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